絵の具のシミ抜き依頼は学生服がほとんどなのですが、今回のご依頼はセーターに付着しています。実はこれ、絵の具の特徴がよくでているんです。
絵の具は種類にもよりますが、大抵の場合、顔料という色の小さな粒と、塗りたいものに定着させるためのバインダーとよばれる樹脂でできています。
顔料は水にも油にも溶けないので、顔料をバインダーを使って引っ付けているのが絵の具なんですね。だから紙以外にも衣類や壁、色々なものに塗れるわけです。
それをふまえてもう一度お写真を見てください。毛糸に色が絡まって乗っているように見えませんか?これが絵の具の特徴なんですね(^^)
ということで絵の具はこの顔料をひっつけているバインダーをなんとかすることから始まります。「絵の具 落とし方」などで調べるとでてくるクレンジングオイルはこのためのものですね。(※クレンジングオイルは肌に使用するものなので樹脂を溶解する力は弱いです)
バインダーを溶解できると今度は顔料が残ります。床などであれば拭き取ればこれで大半はとれると思いますが、衣類は繊維が複雑に織られているため、拭き取ることはできません。なんとか離れた顔料を取り出す必要があります。
そこでクレンザーや歯ブラシを使用して顔料を掻き出すわけです。
たしかにこの落とし方、家で絵の具をとる方法は?と聞かれると僕もこう答えると思います。ですが正直なところオススメは致しません”(-“”-)”
なぜなら、顔料を掻き出すということがご家庭だとほんとに難しいんです。
バインダーのおかげで繊維の上に乗っている状態が最も絵の具がとりやすい状態なのですが、バインダーを溶解して顔料をとるつもりが、歯ブラシやクレンザーで何重にも編み込まれた繊維の奥に小さな色の粒を刷り込んでしまうと本当にとれなくなります。
シミをおとせる確率が最も高い方法は、できるだけ早く、そのままの状態で信頼できるクリーニング店に持っていくことだと僕は思います(‘◇’)ゞ